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行きたい時に行きたい現場に行く永遠のにわかオタク。全次元の男子バレー関連、若手俳優、隣国アイドル、J事務所、スケートなどを鬼の形相で追っています。

宝塚BOYS・9/1観劇記録・清く正しく美しく

 

9月1日前楽、やっと宝塚BOYSを大阪公演で観劇しました。せっかくの主役じゃんもっと入れよ...って感じは拭えないけどお渡し会に行った理由に書いたようにリアルがめちゃくちゃ忙しく、こんな最後の最後みたいなタイミングになりましたとさ。

 

ただやっぱり観劇後、もっと早く観たかった!!!!!早く観て不特定多数に聞こえる場所で宝塚BOYSすげーぞ!!!!!今すぐ観ろ!!!!!!!!!!!って言いたかった~~~~~~って気持ちでいっぱいになりました。ほんとたくさんの人に観てほしい。

胸がいっぱいで大声で何かを言いたい反面、戦争を扱う責任ある作品でもあり、有田賢史氏の言葉を借りると「言葉にすると安っぽくなってしまう」という気持ちもあるので適度に感じたことを綴ろうと思います。

 

 

ちなみに宝塚BOYS過去作は全くの未履修なんだけどSKYのメンバーが演じるもので感じたことを全てにしたかったのもあって結局過去作見ないまま行きました。あらすじを知っているだけで本当の本当に初見。宝塚については身内にヅカオタが2人ほどいて、うち1人が頼んでもいないのにヅカのDVDやらCDやら大量に押し付けて感想を求めてくる人なのでちょこちょこ知識はあるかな?程度。彼女の推しさん都合で花組のものが多いです。

 

 

宝塚BOYSのあらすじを以下公式サイトから。

 

www.takarazukaboys.com

 

 

昭和20年秋・・・第二次世界大戦が終わったばかりの激動の時代。

幼い頃から宝塚の舞台に憧れていた若者・上原金蔵。彼は一枚の召集令状で青春を失い、今度は自らの書いた一枚の手紙で、人生を変えようとしていた。

手紙の宛先は宝塚歌劇団創始者小林一三

内容は宝塚歌劇団への男性登用を訴えるものだった。

折よく小林一三も、いずれは男子も含めた本格的な“国民劇”を、と考えていたのだ。

そうして集まったメンバーは、上原をはじめ、電気屋の竹内重雄、宝塚のオーケストラメンバーだった太田川剛、旅芸人の息子・長谷川好弥、闇市の愚連隊だった山田浩二、現役のダンサー・星野丈治、と個性豊かな面々だった。

宝塚歌劇男子部第一期生として集められた彼らではあるが、劇団内、観客などの大半が男子部に反対。

前途多難が予想される彼らの担当者として歌劇団から、池田和也が派遣されていた。

池田は彼らに厳しく言い放つ。

「”清く正しく美しく”の歌劇団内では、生徒といっさい口をきいてはならない。」

「訓練期間は2年。その間、実力を認められるものは2年を待たずに仕事を与える。」

 

男子部のメンバーはいつか大劇場の舞台に立てることを信じ、声楽・バレエ・・・と慣れないレッスン明け暮れる日々が始まった。

彼らは歌う、「モン・パリ」「おお宝塚」「すみれの花咲く頃」・・・・・・。

瞬く間に一年が過ぎ去り、待ちに待った出演依頼が。

しかしそれは・・・馬の足。

男子部の存在を否定するかのような事件も起こり、彼らの心中は激しく揺れ動く。

そんな中、新人・竹田幹夫が入って来る。

月日は流れて行く。

やり切れない想いをかかえながらも、相変わらず日々のレッスンに励む男子部の面々。

しかし、彼らの出番は相変わらずの馬の足と陰コーラス。プログラムに名前すら載らない。

それどころか、男子部反対の声はますます高まり、孤立無援の状況。

そんな彼らをいつも温かく見守ってくれるのは、寮でまかないの世話をしてくれる君原佳枝だけだ。

 

そんなある日、とうとう宝塚男女合同公演の計画が持ち上がった。

喜びにわく彼らだったが・・・・・・。

 

 

 

 

「たくさんの戦友を見送ってきた」から押し寄せる男子部の戦争の傷

 

 

冒頭の宝塚の門を叩くシーンからすでに「どんな人なんだろう」の疑問が浮かぶ暇も無いほど怒涛のスピードでこちら側に伝わってくる上原金蔵の必死で切実な宝塚愛と彼の夢。ドタバタ慌しい彼の必死さが一瞬で客席を虜にしていくというか、あまりにも真っ直ぐでいとおしい。そんな姿がコミカルに演じられる序盤、戦争のことについて池田さんに問われた彼が所属した部隊と「たくさんの戦友を見送ってきた」ことを一瞬声を詰まらせた後ハキハキと語った瞬間にぐっと空気が重くなって、同時にその姿に涙が止まらなくなって。

 

 

あらすじにもあって知っているはずなのに、あの瞬間以降男子部メンバーからぽろぽろ語られていく戦争の傷とそれに翻弄される苦しみが「夢を追う若者」の物語の中にちりばめられていて、どうにも言葉に出来ないもどかしさだとか息苦しさがずっと最後までついてくる感覚でした。

 

キラキラと泥臭さが混じったずっしり重い物語の中にもくすっと笑えるコミカルなシーンがたくさんあって、12:30の開演からアフタートークもあわせて16時過ぎまで約4時間もあったのが信じられないくらいあっという間。

 

戦争に人生を翻弄され性別のために夢の舞台からは排斥され、最初はバラバラだったけどそれでも宝塚という女の園で共に夢を追って必死に生きた男子部が、池田さんと君原さんが、あまりにもみんないとおしくて、安っぽい言葉になるけど本当に観に行ってよかったです。

 

 

男子部7人の必死で切実な姿と宝塚の音楽 

 

7人揃うとシリアスになったりコミカルになったり作品自体の表情がくるくる変わるようですごく新鮮。

自分みたいに友人から宝塚のDVDなんて布教されたりしていなかろうと、一般常識的に知りえる今の宝塚の姿を考えると男子部の結末は想像に難くないはず。だからなのか、彼らの愚直なまでの真っ直ぐさと必死さと切実さを見ていると、しまいにはコミカルなシーンでさえ涙が出てしまう場面もありました。

 

パリのシーンはちょっとモノボケみたいになっていて笑えるシーンのはずなんだけど、あまりにも楽しそうな彼らの姿を見ていてああ素敵だなと思うと泣けてしまってもうだめだったり。

 

一番誰とも馴れ合おうとしなかった星野さんが少しずつ男子部に溶け込んでパリのシーンで楽しそうに張り切る姿を見て泣いたり。

戦死通知のシーンで悲しみに暮れる姿を見て泣いたり。

夢と現実の瀬戸際に立たされた太田川さんの「夢の続きが見たい」という叫びに泣いたり。

 

金蔵くんの「それでも自分は戦友たちの墓前に胸を張って報告したい」という最後まで真っ直ぐな姿勢に泣いたり。

 

もう一生分泣いたんじゃないかくらいずっと涙止まらなくてこまった。出来る限り静かにしてたつもりなんだけどズビズビいってたらほんと申し訳ないです隣の方.........

 

 

そんな男子部のメンバーがみんな苦しい時にいつも音楽が支えてくれていたエピソードに加えて、男子部が設立されてからも苦難のたびに宝塚の音楽に支えられる姿。

彼らが立つことのない宝塚の舞台で奏でられる音楽を、彼らが心の支えにする姿を見るたびに大劇場に立ちたい思いがひしひしと伝わってた。

竹ちゃんが入ってくる前とか、理不尽な現実にみんなでお酒を酌み交わすシーンだとか、解散が決まったと告げられたときだとか、苦しいときにこそ歌う最後まで真っ直ぐな7人と池田さんを見て痛々しさと誇らしさといろんな思いがごちゃ混ぜになりました。

 

 

幻のレビューシーンと「清く正しく美しく」

 

 

涙無しには見られなかったです。夢潰えてただ肩を抱きあい歌う7人と池田さん、その目の前に現れる夢の舞台の大階段と音楽。華やかな衣装とライティング。

 

叶わなかった夢の舞台、男だけの幻のレビューが華々しく披露されるシーン。喜ぶべきなんだろうけど心から楽しそうな男子部の姿に手拍子もまともに出来ないほど号泣しました。ああ立って欲しかったなあ、と思いながら最後の最後、「すみれの花咲く頃」でフィナーレを迎えこみ上げる思いを堪える上原金蔵くんの姿にまた泣きました。

 

 

そしてつとめて明るく宝塚を去る6人と、振り返ることなく稽古場の電気を消して去る金蔵くん。アフタートークにて「男子部たちのその後を考えてみて欲しいので振り返らずに出て行く演出を入れてもらうようお願いした」という話を本人から聞いて、なんだかじわ~~っとくるものがありました。

スーパーにわかオタクのわたしは彼が何でもそつなくこなす姿ばかり見てきた気がするので、自分のふがいなさに落ち込んだというこの舞台で彼がもがいた結果が物語の最後にそっと添えられていたことが嬉しかったし、この日観劇されていた実際のBOYSだった吉井さんのコメントをお聞きして「振り返らない」は正解だったと思いました。

 

最後に7人は「清く正しく美しく」に深く礼をして出て行くんだけど、池田さんや男子部メンバーは何かあるたびに女子部との関わりについて言及したりしながら「清く正しく美しく」と言ってきたけど最後まで必死に生きた彼らこそがその言葉そのもの。

 

 

男子部はきっとこの作品を観た人に「宝塚は酷い!」なんて思われたいとは思っていないはずだし、たくさん苦しい思いをした場所であれどきっと宝塚で生きたことを誇っていらっしゃるだろうし、宝塚の音楽にたくさん支えられたのだと思う。

女だけで全てを表現するから生まれる美しさがあるというのも重々理解しているつもりだし、だから成り立っていることもあることだってわかっているつもり。つもりだけだと言われたらそれまでだけど。

 

 

それでもわたしは再三ヅカ観劇に誘ってくれる例の友人に「行きたくなった!?」と聞かれても今肯定することはできなくなりました。宝塚歌劇は悪じゃない。でも自分はしばらくは行きたいと思えないだろうし、今の時点では「生で見る『宝塚』が、BOYSが最初で最後がいい」とすら思ってしまう。ネガティブな意味じゃなくて、それほどまでに存在しない幻のレビューはあまりにも夢でいっぱいのステージだったと思っています。あれ以上にいきいきと美しい世界が見られる気がしなくてしばらくはあの世界に浸っていたい。

 

真心純、上原金蔵にぴったりすぎる芸名だなあ。

 

 

あと友人にも聞いてたけど愛華みれ様、男役だったなんて嘘だろでしかない.........あまりにも可憐でのびやかな歌声すぎた...少女......

 

 

 

 

アフタートークショー

 

 

 アフタートークのある回とない回があったのでどうせならと思ってある回のこの日を取ったみたいなとこあります。8月いっぱいは無理そうだなと思っていたので取れるところがここしかなかったっていうのもあるけど。

涙で顔面ぐしゃぐしゃのまま外に出るのはリスキーすぎるので和やかトークショーあって本当によかった......... 

 

アフタートークは毎回MCが違うらしくて、この回は星野さん役の中塚皓平さんでした。観劇中なんか既視感あるなあと思ってたんだけどお顔の小ささとかあごのしゅっとした感じとか体型とか見てて宮野では???!!!と思った。双方のファンの方に怒られそうだけど。

1階後方で見てたんだけど、たまに焦点合わなくてぼやけると上品な宮野に見えます(全宮野ファンに消されろ)

 

中塚さんが「一人で喋っててもあれなんで生意気な弟達を呼びたいと思います。みんなおいで!」って呼びかけるとやんちゃしながらわらわら出てくる弟くんたち。それをさっさと整列させて座らせるお兄ちゃん。

 

 

と、ここで中塚さんが「崇人!一馬!ちょっと立て!!」と何かに気付いた模様。

中塚さんの楽屋着を崇人(上)一馬くん(下)が着て出て来てしまったようです。さっそくやんちゃである。

そのうえ「なんか着心地悪いと思った~」「もういいっすか(服投げ捨てる)」と散々なイジリっぷりwwwwwwwwwwwお兄ちゃんの優しさに甘えすぎてるwwww

 

他にも稽古の開始時期について、

 

中塚「6月の頭から稽古が始まって」

崇人「6月20日でしょ?」

 

と細かく指摘するなどお兄さんイジリをちょこちょこ入れてくるたびに「中塚さん優しいかよ.........」とそっと手を合わせました。彼のことだからわりとすぐ懐いたのかなあ。お世話になりましたありがとうございます。

 

 

宝塚BOYSハプニング大賞 ~TEAM SKY~

 

 

結構がっつりトーク長かったので話の順番の記憶が曖昧なんだけど本番中のハプニングの話。

お客さんの見えないところで毎日ハプニングが起こってます~~ってことでひとりずつハプニングについてこんなことやっちゃいました!を語ってくれました。

 

一馬くん→つい最近の公演(昨日じゃない?とか言われてたけど結局不明)で早着替えが間に合わず一曲目に出てこれなかった。一馬くん的にはギリギリセーフを主張、みんな的にはギリギリアウトだった。(笑)衣装さん達にも間に合わなかったら助けを呼べと言われてるけどいざそうなったらテンパりすぎて声が出なかった。

 

 

山口大地くん→山田役なのでドア芸が多い(みんな「ドア芸wwww」でツボる)。今日は上原がドアの前で何語か分からない叫びをしたときドアをバンバン叩かれて裏でなんかバキッって壊れた音がしてて大丈夫!?ってなった。星野さんが2回連続空振りしたこともある。

 

 

中塚さん→シーンによって笑っちゃいけない役柄があるが今日は崇人が普通に後ろ向いて「ヘヘッwww」って笑ってた。(崇人「だって今日山西さんがキレキレで笑いそうになって長谷川の方をみたら長谷川がアメーバみたいな動きしてて...」)

あとは最初の登場シーンでくるくる回ってバレエの才能を見せ付けるところでバランスを崩してヨタヨタになってしまい、そのまま「よろしく(キリッ)」と挨拶したがさすがに突っ込まれた。

 

 

塩さん→山田が勢いよく顔を上げたら鼻の下にお守りが引っかかっちゃって喋るたびにピロピロしてて笑った。(塩さん、2回ぐらい「あっ!!!思い出した!!!!!」と勢いよく立ち上がっててみんなに「なにwwww」と笑われてました)

 

 

ガタカ選手→崇人はハプニングがないのでは...という話になって、ハプニングじゃないけど稽古で面白いことがあった話。「馬だから干草を食べよう!!!!」とヤケになる金蔵くんのシーン、セリフのあとに馬のモノマネを入れようと言われて馬ってどんなんだっけ!?と考えた結果、「ポコポコポコ!!!」と謎の擬音を出してしまって稽古場中がツボに。本番ではやらなかった。

 

 

他にも大階段を前を向いたまま降りるのが怖いとか、みぞたくくんが階段から落ちた話とか(1段だったので無事、影響は無かった)、崇人「階段の先につま先をひっかければいいんだー!」とか、夢のステージでの苦労話もありました。

 

 

最後の挨拶は俳優の性格がすごく出るなあと思った。みぞたくこと溝口琢矢くんの挨拶がすーっと頭に入ってきてめちゃくちゃ聞きやすくて予想外でびっくりしました。魅力的な話し方をする人っているよね......

記憶力がゴミすぎて全然ちゃんと覚えてないけど、「良し悪しじゃなく今日はこうなったねと受け止められる」「僕は今日は今日でベストだと思っているし明日は明日でまたベストを出す」とかそんな感じだったと思います。思わずうんうん頷いてしまった。言葉に説得力のある人ってすごいなあと思います。才能だよね。

 

塩さんが言ってた「最後ハケる時バーッとハケるようにしていて本当にそれでいいのかと思うことがあったけど今日吉井さんのお話を聞いてあれでよかったんだと思った」もじわ~~~~っときました。あの時代を必死に生きたことって想像を絶するというか、自分達には推し量ることしかできないわけで、そういう本物の声を聞いてやっと自分の中にすとんと落ちるものってあるよなあと思う。

 

 そして「今まで自分のためばっかりに仕事・お芝居をしていたと思った。伝えなければいけない責任を感じた」という推しの言葉に色々な方面で衝撃を受けました。今まで力を入れていなかったなんてことじゃなく、これまでとは力を入れるベクトルが・姿勢が違うのはこの作品を観てよくわかったけど、本当に大きな出来事だったんだなあ.........その場に立ち会えてよかった。

これまでの作品も見返したいしこれからの姿もたくさん見たいなと改めて思えた。

 

 

数年に一度しか再演されないこの素敵な作品に出会わせてくれた推しくんに感謝です。

影響されやすい人間の脳内は今日も「モン巴里」「おお宝塚」「すみれの花咲く頃」をエンドレスリピートしてるし「戦友たちに申し訳が立たない」と絞り出した彼の顔を思い出しては涙腺を緩めています。