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行きたい時に行きたい現場に行く永遠のにわかオタク。全次元の男子バレー関連、若手俳優、隣国アイドル、J事務所、スケートなどを鬼の形相で追っています。

「牛島さんはレシーブの時何を考えてますか」とエースの自覚

 

 

「エースにこだわる日向」は物語が進むにつれて影に隠れてきたように見えるけれど、わざわざエースである牛島若利にスパイクではなくレシーブの事を聞いたのにはきっと理由があると思う。全国3本指、将来の全日本男子エース候補という公式設定(原画展パンフレットより)のある絶対的エースであり、ポジションの役割的な意味で言えばサーブレシーブにはほぼ参加しないことがわかっている相手にそれを聞いた理由。

 

日向のレシーブ覚醒はもうすでに稲荷崎戦で起こっていて、その回想には例のシーンも含まれているけれど、質問への牛島さんの回答はまだ明らかになっていない。それは牛島さんの答えが「レシーブ」のみに焦点をあてたものではなかったか、或いはレシーブ覚醒に必要な要素とはまた別だったから?と考えてしまう。

 

 

 

 

宮城擬似ユース合宿と日向翔陽

 

呼ばれてもいないのに飛び入り参加したこの合宿中、初めこそ日向はただ周りに置いていかれまいと焦って動いていたかもしれないけれど、ずっとそうしていたわけじゃない。焦りだらけの状況で牛島さんに一言ぶっ刺され、改めて自分がここに何をしにきたのか・どうすべきか考え直してからの日向の成長スピードは目まぐるしかった。その証拠が、牛島さんに話しかけたのが「牛島さんはレシーブの時何を考えてますか」の質問一言だけであったことだと思うし、なんならこの質問は牛島さんへ日向の出した「答え」でもあると思う。

 

合宿二日目に牛島若利ほか白鳥沢の2・3年生、-春高宮城県予選で自分たちが倒した相手-と対面したとき 、日向はまだ自分が選ばれずボール拾いをしていることに引け目を感じているというか隠したいと思っているというか、そんな風に見えた。それはもしかすると牛島さんから見ても同じで、自分でないチャンスを作りにここに来たにも関わらずどうしたいのか定まっていないような日向に「お前は何をやっている?」という一言だけを残した。

 

日向の牛島さんへの質問はそれに対して合宿中自分のなるべき姿を探してひとつだけ決めた答えなのでは?と思った。

 

 

 

 

エース牛島若利とレシーブ

 

牛島若利のポジションはセッター対角・オポジット(OP)、殆どの場合がライトプレーヤーとなる。学生バレーではこのセッター対角には「ユニバーサル」や「ユーティリティ」と呼ばれる万能型の選手や守備力補強のための選手が置かれることが多い。例えば梟谷学園の木葉秋紀なんかは超万能型でまんまユニバーサルプレーヤーだし、烏野のキャプテン澤村大地はレシーブ薄めの烏野で守備力を補うユーティリティプレーヤー。

 

でもやはり上のカテゴリにいけばいくほど、このオポジットというポジションは牛島若利のようなサウスポーの大砲を置いて点取り屋として起用することが殆ど。最近はそう呼んで役割を限定することも無くなってきたものの、レセプション(サーブレシーブ)には極力参加せず常に攻撃に備えるという所謂「スーパーエース」型なわけだ。

 

つまり極端に言ってしまえばスーパーエース型のオポジットである牛島若利は他の選手ほど試合中のレセプションにおいて重きを置かれるポジションでない。彼はレシーブが上手いとはいえ、レシーブ自体の事だけを聞きたかったのであれば同じ場所にいた白鳥沢の正リベロ・山形さんや他の合宿参加者のリベロにだって聞けたはずだ。リベロはサーブレシーブもスパイクレシーブも人より多く受けるであろうポジションなのだから。

となると、日向が牛島さんに聞くレシーブは大意として「ディグ」(スパイクレシーブ)のことになる。エースはその助走を牽制する目的でよく狙われる、その際相手の強烈な一発を上げるためのレシーブ。そしてトランジション(=守備側から攻撃側に移り反撃をすること)の際の一発目になり、その後自分が攻撃に参加するためのレシーブのことだ。

 

一度白鳥沢のサポートメンバー相手に類似した「カッコいい球拾いのコツ」を聞いているけれど、その前に五色が上手く拾って見せた描写があるのと牛島さんのレシーブの無駄の無さを見て白鳥沢全体で何か心得があるのだと思って一番身近にいた彼らに聞いたのだろうと個人的には考えている。牛島さんへの質問とはまた意味合いが異なる。と考えるなら牛島さんにわざわざそれを聞いたのは

 

 

1.自分なりにスプリットステップという工夫は見つけたものの実戦のゴチャついたコートの中でそれをやる余裕はない。牛島さんのレシーブは実戦で自分の役割に使えそうだと考えたから

 

2.自分でファーストタッチを拾っても最後を自分で打つ姿勢を崩さない牛島さんに聞く意味があったから

 

3.一番身近で一番強く、かつ自分が目指し続けた「エース」の肩書きを持つ人だから

 

 

おおよそこういう理由かなあと予想してる。たとえファーストタッチを自分で取らされようと常に攻撃の選択肢であり続け、どんな場面でも常に大砲のエースであり続ける彼は日向があんなに何度も口にして焦がれた「エースになりたい」の先にいる人なわけで、他でもない彼にレシーブについて尋ねたのはそこに理由があると思える。

 

 ただし、彼の答えが例えば「打つこと」を考えてレシーブしているというものだったとしたら、実際にバレー観戦をしている身としてはエースの答えだなあと思うし納得はいくけれど、それなら悉く日向がファーストタッチを拾わされたり助走距離を取れなくされた対音駒・ゴミ捨て場の決戦で伏線回収されそうなものなのに、未だに牛島さんの回答は明らかになっていない。

 

 

 

 

 牛島若利と日向翔陽と「エース」

  

何故突然こんなことを考え出したのかといえば、先日終了したバレーボールネーションズリーグにて世界最多得点選手となった同じくオポジット・日本代表の西田有志選手の「ファーストタッチを自分で拾って高く上げて助走確保して自分で決める」姿を見て、牛島さんの答えは何だったのだろうとふと思ったから。確信があって何かを主張したいわけじゃない。ただ、自分が拾っても最後は自分で決めるのだというエースの強い意志を目の当たりにして、二人に似たものを見たような気がして改めて彼が日向に答えたことについて考えてみた。

牛島若利の回答によってはそれが日向が将来的にエースとして覚醒するトリガーになり得るのかなと思うし、序盤「エース」にこだわり続けてきた日向に何かヒントになるものが得られたかもしれない。

 

「こいつに上げれば決めてくれる」「こいつは何をやってくれるってわくわくする」という父親の語るエースのようになりたいと思った牛島若利の美徳が、どんな状況でも自分が拾わされても最後に決めるのは自分だと常に思っていることなら、それがエースの自覚であり覚悟なわけで、レシーブもきっとそのためのものだと考えるのだろうと思う。全てあくまで主観まじりの考察だけど、そのエースの強さを春高予選で肌で知り合宿でも改めて思い知らされた日向にはきっと何かしらの影響を与えたはず。

 

 

25巻の日向の質問から、合宿終了までの流れ。

牛島さんにレシーブのことを聞いた日向、牛島さんがレシーブする姿を真似する日向の姿が描かれた後、最後に日向の瞳に2枚ブロックに向かって跳び上がる牛島若利の背中が映っている。エースにこだわっていた日向に牛島若利が与えた影響がなんだったのか、あの日日向が見た牛島若利の背中がなんだったのか、そう遠くない未来に知れたらいいなと思う。

 

 

 

 

 

 

 

余談

  

日向が褒める「無駄のないレシーブ」をする牛島さん・それと似ているという国見ちゃん(セッター対角)にレシーブについて色々と教えを請うところ、元々日向自身がエース志望だったところ、実際世界と戦うカテゴリに参戦しようとするとミドルでは使いづらいところ、宮兄弟(セッターとセッター対格)が変人速攻を使ってきたところを見ると近い将来日向はセッター対角に転向するのでは?の説、無くはなさそう。代表のオポが牛島さんと日向の二枚になるの、夢がある。原作が続きさえすればな~~~~(アンケポチー)