創造営2021とHSK ~オーディション番組を武器にHSKを戦ったオタク~
創造営2021をきっかけに中国語を勉強し始めた同志の皆様、その後の進捗はいかがでしょうか。永遠の中国語初心者こと私はというと、せっかく外国語に触れるなら何かしら形として資格的なものがほしいな~~という貰えるものは貰っておきたい(???)タイプの人種なので、創造営視聴開始と同時にすぐHSK3級の受験申込をし、2021年3月末の試験に無事合格しました。推しにハマりたてでとにかく何でも知りたいオタクの勢いってやつです。
好きこそものの何とやら、好きな人たちの話している言語を理解したすぎる前のめりオタクの無駄に熱い気持ちは止まらなくなり、熱意と勢いでその後2021年5月の試験で4級、12月の試験でHSK5級を突破しました。
それ以降は勉強らしい勉強から遠ざかり、色々なコンテンツをただひたすら見る方にシフトしてしまい完全に脱線状態という現状です。精神的に向上心のない者はばかだって夏目漱石も言ってた。そんなこと言ったって、創造営2021関連コンテンツに仲間との友情がアツすぎる明日之子、消防士の张嘉元さん、INTO1のグループバラエティ、創造シリーズ同窓会こと闪亮的日子、世の中には見るものが多すぎませんか????
それはそれとして、今年の春にluluさん(@lulu281721)が「創造営2021から学ぶ中国語」講座を開かれていた時にも感じたことですが、創造営2021は自分にとってかなりいいモチベーションを保てる教材でした。教材のつもりで見ていた訳ではなくただ好きで見ていたのですが、実際にHSKの試験で救われたことすらあります。
そこで今回は、昨年HSK5級の受験前あまり勉強時間が取れなかった中国語初心者の自分が、10か月間ひたすら創造営2021を繰り返し見ていたことが地力になって戦えたと感じたことについて、記録がてら書き残しておきます。
※公式アプリWeTVのスクショ機能を使用した画像があり、番組の展開に触れています。未視聴の方はご注意ください。
そもそもHSKとは?
HSKは国際的に受けられている中国語を母語としない学習者向けの中国語検定試験で、下は1級~上は6級まで6つの級に分けられており、試験内容は読む・聞く・書くの三分野で能力を測る形になっています。
INTO1の一周年記念配信のクイズ企画で、問題の意図を間違って回答した林墨に対し「HSK受けてきたほうがいいんじゃない?」「H!S!K!」と小九さん赞多さんが煽り倒したことも記憶に新しいです。感情を無くした不憫な林墨さんの表情たるや。
さて、私自身は3級・4級の試験に際してはNHKラジオ講座で学んだ基礎中の基礎とHSKの参考書を片手に、あとは四六時中ただひたすら創造営2021とサブコンテンツを時には日本語字幕・時には中国語字幕(この両方が大事だったことには後で気付いた)で見ていたと記憶しています。とにかく見たいだけ見ました。それでもまだ記憶にないシーンが出てくるのが創造営の怖いところではあります。
4級以降は試験内容に作文があり、4級では写真に対して一文添えるものが複数問、5級では80字程の作文が二題とぐっとハードルが上がります。そのうち一題では5つの単語が与えられ、その全てを使って作文を書くという形式でした。
80文字というと長い作文ではないですが、まず提示される全ての単語を知っていないと詰む仕様になっているのと、起承転結をうまくまとめる表現力が必要になりました。5つの単語のうち知らない単語がひとつでも出てきたら負ける……運ゲーと言われない実力をちゃんと身に着けておくべきだった……と、ゴングが鳴る 試験が始まる前から自身の勉強不足を懺悔していたオタクに、リングの上から手を差し伸べたのは、10か月もの間飽きもせず見続けてきた創造営2021コーチでした。
オタク、突如戦闘力2021億になる
リスニングとリーディングを終えて既に疲労感いっぱいのまま始まった作文の試験。問題を開き課題として提示された5つの単語を見た瞬間、「書ける......書けるぞ……!!!」と自分の中にムスカの人格が芽生えるのを感じるオタク。それまでの疲労感を忘れ、何かしらの連続技(格闘技無知一般人の浅すぎる見識)でボコボコに畳み掛けるような勢いで書き上げます。指定された5つの単語の共通点は、「創造営2021の生活」でした。
①学习……学ぶ*1
ログインボーナスです。1級の単語であり、創造営2021でも日本人学員をはじめ海外勢が毎回のように使っていました。何なら一緒に学んで練習して舞台に立って......というのが国際オーディション番組である創造営2021の流れでした。学習者ならみんな知っている単語ですね。
EP1: Dorm Diary - オンライン観賞 - WeTV
こちらはバレエお兄さんこと陈瑞丰くんが隣の部屋に赞多が住むことを知り、王の部屋だ!彼から学ぼう!と意気込んでいるところです。彼はその後、赞多のいるYummyチームを選び一公に挑みました。中国勢は海外勢から技術を学ぼうとしている人が多かった気がします。
ちなみに刘宇さんは大島日記でなぜか赞多さんから猫パンチボクシングを学んでいました。とてもかわいいので見てください。
②适应……適応する、順応する
他の級の単語も忘れるなよ?と言わんばかりに物陰からこちらを窺う4級の単語が出てきました。恐らく隙を突いて倒してやろうという魂胆なのでしょう。しかし、新しい生活に適応しようとする学員たちを見てきた者にとっては、朝飯前のジャブのようなものです。格闘技にわかオタクなので実際ジャブがどんなものかはあまりわかっていませんが、体がかなり温まってきたのはわかります。
EP2: Practice Room - オンライン観賞 - WeTV
自分がよく覚えているのは練習室日記EP2、R1SEメンバーが学員を訪ねた回。俞更寅さんの珍しい弟ムーブが見られる超レア回なので何度も見返していました。ここでは林墨の様子を見にきたR1SE何洛洛くんが「ここの生活に慣れたか?」という意味で使っていました。他にも創造営2021放送中に色々な記事で「市場に適応しようとした」「島での生活に順応した」というような表現で使われ、何度も目にしている頻出単語でした。
③陌生……見知らぬ、よく知らない
ついに満を持して姿を現した5級の単語。しかし、こちらも放送当時色々なシーンや記事、歌詞でも目にしていたためしっかりと定着していました。好きこそオタクの筋肉なれ。オタクをしながら力をつける、我々はHSKに向け筋トレをしているようなものなのである。自分でも何言ってるかあまり分かっていませんがそういうものだと思ってください。
特に印象的だったシーンを挙げると、番組序盤の見どころの一つでもあるAKのお詫びの手紙。「よく知らない人に攻撃してしまい謝りたかった」という意味で出てきます。
また番組中タイ勢や日本勢が健闘していることについて「慣れない(よく知らない)言語にも適応し......」という内容の記事もよく見かけました。
④想念……懐かしく思う 恋しく思う
個人的にこの単語が出たことをよく覚えていたのは本編EP6-2、何屹繁さんが第一回順位発表後ずっと元気のない挙武くんについて「友達の喜内優心と離れてしまったから」と話していたシーンで使われていたところ。出会いがあれば別れもあるのがこの番組。離れて暮らす家族のことを想って、あるいは創造営を離れた仲間を想って、繰り返し出てくる単語です。創造営に出会いと別れあり。別れがあればこの単語あり。さしずめ前述の喜内優心さんにとってのプロテインみたいなものでしょうか。プロテインみたいな単語って何?
EP6 (Part 2): 第二回公演継続!誰が応援王になるのでしょうか? - オンライン観賞 - WeTV
ちなみに「陌生」と「想念」はどちらも三公の林墨チームの曲「天突然下起雨,是我在想你」にも出てきます。一粒で二度おいしい。
⑤舍不得……別れがたい、手放しがたい
創造営といえば涙なしでは見られない淘汰シーンが何度も訪れますが、そのたびにこの単語が出てきます。音・意味・使い方までしっかりばっちり記憶している、創造営視聴者的には得意分野です。ここまでくると流石にこの作文問題に特大のアッパーを食らわせた気持ちになるはずですが、アッパーの事は下から打つパンチであること以外は知らないので印象的なシーンを添えて終わりにします。
甘望星のことを話す井胧お兄さん。彼のことを弟のように大事に思っているのだそうです。
EP9: 三回目の順位発表 25人が決勝進出! - オンライン観賞 - WeTV
一回目の順位発表後のことについて我管你チームの邵明明・吴宇恒と話す伯远お兄さん。原部凌くんや喜内優心さんたちとの別れの時の話をしています。
という感じで、作文でそこそこいい感じの点数を取ることができ、無事合格することができました。勝因は二点。一つは全ての単語が「見知らぬ(陌生)色々な国から来た学員たちが共に学び(学习)共同生活に適応(适应)していく中で別れがたい(舍不得)存在になり、別れの後も恋しく思っている(想念)」という創造営の流れと完全に一致していて、学生生活での心情の変化を表しているテーマに絞って文章をまとめやすかったこと。
もう一つは、その単語の文章中での使用例やニュアンスを実際のやりとりを見て知っていたこと。何度も見た会話やインタビューで使われた表現は、単語ひとつを知っているよりも使われる場面やニュアンスがはっきりと自分の中でわかっているので、単語を入れ替えて使うこともできました。
”オタク”は武器たり得るか
というわけで、創造営2021を武器にHSKと戦った記録でした。週1回の数時間より毎日の5分とはよく言ったもので、5分どころか毎日数十分、長ければ数時間、毎日継続的に触れていたのが功を奏したのかなあと感じています。塵も積もれば、です。
とはいえ本気で中国語に取り組んでいる方に比べたら当たりの単語が出た所謂ガチャ成功感は否定できないし、視聴しているだけで完璧に習得とはなかなか言えないことは、別の言語を使って仕事をしている語学オタクとしても重々承知しています。本当に5級パスしたの?という実力である自覚もあって、色々ちゃんと勉強したいなと思っています。
それでも自力で好きな人たちの出ている番組が見られたり、堪能な人には及ばずとも大意を理解出来たり、もっとちゃんと勉強したいと思えたりと、エンタメを通して言葉が少しわかるようになったことで新しい楽しみを発見できるようになったことが嬉しいし、こういう景色が見られるところまで連れてきてくれた創造営2021には本当に感謝しています。異文化に触れながらみんなで頑張る学員たちの姿が、毎日中国語に触れていられるモチベーションになってくれたことが、一番大きかったかもしれません。毎日の筋トレが身体を作るって喜内優心さんも言ってたかどうかはわかりませんが、筋トレと語学習得はわりと近いものがある気はしています。
創造営2021で学べる中国語については、冒頭で触れたluluさん(@lulu281721)が開かれていた講座をnoteにも上げてくださっています!
中国語を勉強したいオタク各位、間もなく創造営2021の放送開始から2年が来ようとしていますが、供給を何もかも血肉にして楽しく筋肉育てていきましょう~~~!
*1:他の4つは試験後にメモしていたので覚えていましたが、あと一つだけがどうしても思い出せませんでした。色々と検索してみたところこれだったようなので、学习として取り上げています。昨年12月のHSK5級を受けた方で確かな記憶がおありの方で、間違いがあればご指摘ください。